2008年07月17日

百物語・実話 /謡堂

 
 子供の頃の私は親にこっぴどく叱られると部屋の押し入れに閉じこもる習性がありました。
 引き戸を閉めて暗くして。
 ある日そうしていると、耳の後ろ辺りから甲高い声で「ごはんだよっ」と囁かれたのです。

 もう夕飯か、と思って台所に行くと、まだ何も用意されていませんでした。
 なんだ、と思って押し入れに戻ってみても、特に変化はありませんでした。

 ……何だったのでしょうか、あれは。


※文にして気づいたのですが、「ごはんだよっ」と言っても、「人間だ、餌だ、喰ってやる」という感じではありませんでした。友達が、「お前んち、もう飯の時間だぜ」と教えてくれるような感じ。
posted by 謡堂 at 12:05| ◆聊枕百物語